2021.10.26 時点の投稿

クラウドファンディングと投資型クラウドファンディングの違いとは

  • Bankersの潮流

クラウドファンディング(Crowd Funding)とは、不特定多数の群衆(Crowd)から資金を募る(Funding)仕組みを指す造語です。
インターネットを通じて不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、趣旨に賛同した人から資金を集める方法を指します。

クラウドファンディングのうち、事後的に金銭的なリターンを得ることを資金提供の目的とするものを、投資型クラウドファンディングといいます。

今回は、クラウドファンディングと投資型クラウドファンディングの違いを、詳細に説明します。

クラウドファンディングの分類

クラウドファンディングは様々な分類方法が挙げられますが、

・投資型クラウドファンディング~金銭的なリターンを得ることを資金提供の目的とする
・非投資型クラウドファンディング~金銭的なリターンを得ることを目的としない

に大別できます。
さらに、投資型クラウドファンディンングと非投資型クラウドファンディングは、それぞれ次のように分類されます。

投資型クラウドファンディング

株式や分配金といった金銭的なリターンを得ることを資金提供の目的とするのが、投資型クラウドファンディングです。
融資型クラウドファンディングや不動産投資型クラウドファンディング(不動産クラウドファンディング)も一般的に投資型に含まれます。

日本の国内法上は、匿名組合契約や不動産特定事業契約などにより一定のファンドが組成され、そのファンドの事業に資金を提供して分配金を得るといった性質を持つことから、事業投資型の中の小分類として整理できます。

 

 

投資型クラウドファンディングの分類

①株式投資型クラウドファンディング

②事業投資型クラウドファンディング
 ・融資型クラウドファンディング
 ・不動産投資型クラウドファンディング
 ・その他の事業投資型クラウドファンディング

非投資型クラウドファンディング

金銭的なリターンを得ることを資金提供の目的としないものを、非投資型クラウドファンディングといいます。
非投資型クラウドファンディングは、大きく2つに分類されます。

・購入型~ 金銭以外の物品や権利の取得(購入)が目的
・寄付型~ 文字どおり寄付(支援)を行うものであって物品や権利の取得を目的としない

一定の物品や権利の取得を伴う場合もありますが、物品や権利はあくまで資金提供への謝礼であり、資金との対価関係は乏しいことが一般的です。

 

投資型クラウドファンディングを種類ごとに徹底解説!

投資型クラウドファンディングとは、株式や分配金といった金銭的なリターンを得ることを、資金提供の目的とするクラウドファンディングの類型を指します。
得られるリターンが株式なのか分配金なのかによって、株式投資型と事業投資型に分類されます。

いずれも投資リスクがある点は共通し、金銭的なリターンを得ることなく提供(出資)した金額(元本)が毀損するリスクを負うことになります。

1. 株式投資型クラウドファンディング

提供された資金が非上場企業の発行する株式に対する出資となり、資金の提供者も会社の小口でのオーナーとなります。

このため、出資先の企業に剰余金がある場合には、配当の形で金銭的なリターンを得ることもできますし、将来的に株式が上場、または買収された場合にはキャピタルゲインを得られるケースもあります。

株式投資型クラウドファンディングとして、株式の募集または私募の取扱いを事業として行う場合、金融商品取引法上、第一種少額電子募集取扱業務の登録が必要とされます。

また、金融商品取引法による規制を受け、企業が調達できる資金は年間で通算1億円未満、個人の資金提供者(投資者)が同一の企業に対して提供できる金額は、年間で通算50万円以下の少額要件が設けられています(金商法29条の4の2第10項・金融商品取引法施行令15条の10の3・金融商品取引業等に関する内閣府令16条の3)。

投資勧誘の方法も、インターネット上のWebサイトを閲覧させる方法または電子メールを送信する方法に限定されています(金融商品取引法29条の2第1項6号・金融商品取引業等に関する内閣府令第6条の2)。

平成27年5月12日付で金融庁が公表したパブリックコメントの結果等における金融庁の考え方の項番25によれば
「SNS等については、その機能に応じて個別に判断する必要がありますが、サーバーに記録された情報の閲覧による方法又はこれに関連するインターネットを介したメッセージの授受に係るサービスの場合には、同条第1号又は第2号に該当する」
とあるので、FacebookやTwitterなどに募集要項を掲載するのみであっても規制になると考えられています。

株式に関する限り、募集または私募の「取扱い」は金融商品取引業に該当しますが、自社で発行する株式について上記の方法で出資を募る場合はこの限りではありません。

あくまで自社以外の第三者が発行する株式に関して、上記の方法で取得勧誘を行う場合が金融商品取引法の規制対象となります(金融商品取引法2条8項7号・9号)。

 

2. 事業投資型クラウドファンディング

事業投資型クラウドファンディングでは、提供された資金はファンドを通じて集約され、資金使途として提示された一定の事業のために用いられることになり、会社の経営に関わる権利を有しません。

資金使途となる事業で利益が生じた場合、ファンドの運用期間の終了時に分配を受けられることはもちろん、出資契約の中で運用期間中に分配の定めがあれば、ファンドの運用期間中であっても利益の分配を得られます。
また、ファンドの運用期間が終了した際に剰余金があれば、その分配を受けることができるでしょう。

日本国内では、
・不動産投資型クラウドファンディング~不動産特定共同事業法による規制
・融資型クラウドファンディングやその他の事業に投資するクラウドファンディング~金融商品取引法による規制
を受けることになります。

事業投資型クラウドファンディングは、出資対象事業の内容によってさらに3つに分類することができます。

(1)融資型クラウドファンディング
(2)不動産投資型クラウドファンディング
(3)その他の事業投資型クラウドファンディング

不動産投資型クラウドファンディングは、不動産特定共同事業法の適用を受けるため別に考えることとなります。
ファンドへの出資契約に基づき、出資対象事業によって生じた収益の分配を受ける権利は金融商品取引法の規制対象である「集団投資スキーム持分」にあたります。(金融商品取引法2条2項5号)

事業投資型クラウドファンディングは株式投資型クラウドファンディングの場合と異なります。
資金調達を自ら行う場合であっても、第三者のために出資持分の取得勧誘(募集または私募の取扱い)を行う場合であっても、同様に金融商品取引法の規制対象となるのです。(金融商品取引法2条8項7号・9号)

 

事業投資型クラウドファンディングをさらに詳しく解説

(1)融資型クラウドファンディング

ファンドを通じて提供を受けた資金を融資事業に用い、資金の提供者は融資先から支払われた利息の中から利益の分配を受け、また、融資先から返済を受けた元本の償還を受けるといった仕組みの投資型クラウドファンディングをいいます。
貸付型クラウドファンディングやソーシャルレンディングと呼ばれることもあります。

金融商品取引法の下での取扱いは、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会の定める「事業型ファンドの私募の取扱い等に関する規則」に定める態勢、または同規則に定めるのと同程度の態勢を整備する必要があります。

 

(2)不動産投資型クラウドファンディング

不動産の賃貸・売買等の事業によって生じた収益をリターンとする投資型クラウドファンディングを、不動産投資型クラウドファンディングといいます。
不動産特定共同事業法が2017年に改正され、インターネット上で契約締結や法廷正面の交付が可能となりました。

金融商品取引法が適用される融資型クラウドファンディングや、その他の事業投資型クラウドファンディングは、金融商品取引法の規制対象として金融庁の監督を受けるのに対して、不動産特定共同事業法の規制対象となる不動産投資型クラウドファンディングは国土交通省の所管となります。

 

(3)その他の事業投資型クラウドファンディング

ファンドを通じて提供を受けた資金を、融資や不動産事業でない特定の事業に用い、その事業から生じた利益を分配する投資型クラウドファンディングをいいます。

日本の国内法上は、民法上の任意組合や有限責任組合の契約形式をとることも可能とされますが、一般的には匿名組合契約(商法535条)の形態をとります。

匿名組合契約は法律上やむを得ない事由がある場合を除いて、原則として中途解約ができず(商法540条2項)、出資持分の流通取引も前提としないため、換金性が著しく乏しいと考えられています

金融商品取引法の下での取扱いは基本的には前述の融資型クラウドファンディングと同様であり、また、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会の定める「事業型ファンドの私募の取扱い等に関する規則」に定める態勢または同規則に定めるのと同程度の態勢を整備する必要があります。

このため、匿名組合契約によるのであれば資金の提供者には商法により貸借対照表の閲覧や業務・財産状況に関する検査権限が認められています。(商法539条)、

さらに、決算期毎に財務状況や分配金・償還金の有無・金額等を記載したファンド報告書が交付されることになっています(事業型ファンドの私募の取扱い等に関する規則8条1項1号)。

また、事業投資型クラウドファンディングの場合、リターンは金銭のみでなく、その事業によって生じた果実(商品や出資対象事業に関する特典・サービスなど)が対象となることもあります。

 

非投資型クラウドファンディングを徹底解説!

非投資型クラウドファンディングとは、前述のとおり金銭的なリターンを得ることを資金提供の目的としないクラウドファンディングの類型を指します。

物品や権利の取得(購入)を目的とし、法律上は民法上の売買契約の形態をとる購入型クラウドファンディングと、物品や権利の取得を目的とせず文字どおり寄付を行うものであって法律上は民法上の贈与契約の形態をとる寄付型クラウドファンディングに分類されます。

 

非投資型クラウドファンディングの事業者に対する法律上の規制

非投資型クラウドファンディングについて事業者に対する法規制は、消費者保護法制(景品表示法や特定商取引法など)を除いて存在しないと一般的には考えられていました。

もっとも、非投資型クラウドファンディングは、現金の移送を行うことなく提供された資金が、遠隔地の第三者に送金されることで債権・債務の決済が行われるといった機能(資金決済機能)を有します。

この資金決済機能は資金決済法上の為替取引に該当し、銀行等以外の者が業として営むことは資金決済業にあたり、資金決済業者としての登録を受けなければならないとされています(資金決済法2条2項、37条)。

資金決済業者としての登録を受ける場合、資金の受入額に応じて一定額以上の金銭を供託するなどして保全し、万が一事業が破綻した場合にも送金者が損失を負わないようにする義務(資産保全義務。資金決済法43条)が課されるなど、一定の体制整備義務が課されています。


このため、資金決済機能を伴う事業では、法令上の明確な根拠を欠くながらも、資金決済法の適用を回避するための法解釈がとられてきました。
令和2年に改正された資金決済法では、資金決済法の適用のある為替取引の基準が明確化されました(資金決済法2条の2)。

今後、非投資型クラウドファンディング事業が資金移送業に該当しないためには、資金決済法2条の2を踏まえ、
・資金の提供を受ける主体を法人や個人事業主に限定する
・資金移動業者に関する内閣府令1条の2の規定を踏まえ資金決済法の適用除外となるような仕組みを構築する
といった対応が求められます。

資金決済法2条の2
金銭債権を有する者(以下この条において「受取人」という。)からの委託、受取人からの金銭債権の譲受けその他これらに類する方法により、当該金銭債権に係る債務者又は当該債務者からの委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)その他これに類する方法により支払を行う者から弁済として資金を受け入れ、又は他の者に受け入れさせ、当該受取人に当該資金を移動させる行為(当該資金を当該受取人に交付することにより移動させる行為を除く。)であって、受取人が個人(事業として又は事業のために受取人となる場合におけるものを除く。)であることその他の内閣府令で定める要件を満たすものは、為替取引に該当するものとする。

【BankersNote編集部】

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