2022.03.15 時点の投稿

イセ食品株式会社の会社更生手続開始に係る当社見解について

  • お知らせ

この度、報道の通り「イセ食品株式会社」(以下「イセ食品」といいます。)が会社更生手続きを開始したことに伴い、過去当社でイセ食品を借手として募集した「伊勢の卵 Next Century サポーターズ ファンド I」および「伊勢の卵 Next Century サポーターズ ファンドⅡ」について、ファンドが成立していた場合の当社見解をご報告いたします。

1. 当時の経緯

2021年7月15日より抽選方式で「伊勢の卵 Next Century サポーターズ ファンド I」、および同年7月20日より先着方式で「伊勢の卵 Next Century サポーターズ ファンドⅡ」を、それぞれ募集いたしました。イセ食品の事情により、ファンド I は運用開始後融資実行前に全額償還、ファンド Ⅱ は募集期間中に募集中止・不成立となりました。

2. イセ食品株式会社の会社更生手続開始に係る当社見解

結論

当社がイセ食品株式会社(以下「イセ食品」といいます。)に対して提示した融資実行条件で融資実行していた場合における回収額及び期間は以下のとおりと考えます。

・融資金の元本は全額回収可能

・利息及び遅延損害金は会社更生法及び更生計画で認められる範囲で全額回収可能

・イセ食品が再生計画に基づき融資金の弁済を行うまでに1年程度

内容

2022年3月11日、イセ食品及びそのグループ会社であるイセ株式会社(以下「イセ」といいます。)について、東京地方裁判所に対して会社更生手続開始の申立てがなされ、同時に同裁判所から保全管理命令が発令されるとともに、保全管理人が選任された旨がイセ食品及びイセより公表されました。

当社では、2021年7月から8月にかけてイセ食品を借手とするファンド2本(募集金額合計10億円)(以下「本ファンド」と総称)を募集しておりました。下記「ファンド概要」記載のとおり、成立したファンドについても、イセ食品側の都合により最終的に融資実行には至りませんでしたが、イセ食品に対する融資が実行されていたと仮定した場合の回収方法等についてお問い合わせがありましたので、弁護士にも確認のうえ、以下のとおり、(1)ファンド募集時における情報提供及び(2)融資実行条件について説明するとともに、(3)融資実行後にイセ食品が会社更生手続開始決定を受けた場合に想定される回収までの手続について説明いたします。

(1)ファンド募集時における情報提供

当社は、投資家の皆さまに対して、イセ食品の業況や財務情報、回収可能性に影響を与えるリスク情報について、本ファンドに係る当社ウェブサイトの募集ページにおける「投資家限定情報」ページや匿名組合契約の契約締結前交付書面において説明しています。 今回当社が募集した本ファンドの匿名組合出資金を原資とする融資金合計10億円の資金使途は、運転資金として他金融機関から融資を受けた既存借入金への返済資金であり、当社による融資金の返済原資についても、イセ食品から提出された事業計画に基づき、イセ食品の自己資金及び当社又は他金融機関からの借り換えが想定される旨を説明しています。

(2)融資実行条件

当社は、①イセ食品が返済不能となった場合でも融資金を全額回収するうえで十分な債権額の売掛金債権について譲渡担保権を設定・登記すること、②譲渡担保の対象債権の評価については、第三者専門評価機関による評価をベースとして、過去、売掛先からイセ食品に対して実際に入金された金額を考慮したうえで担保評価し、融資金額10億円に対して評価額合計12.5億円の売掛金債権を譲渡担保の対象債権とすること、③イセ食品の連結対象であるグループ会社全15社を連帯保証人とすること(なお、今回、保全命令が発令されているのはイセ食品とイセの2社のみです。)、④融資実行後、新型コロナウィルスの感染拡大による影響などにより売掛金債権の回収実績が一定程度減少した場合、イセ食品に対して追加担保を請求できることなどを融資条件として交渉していました。

(3)会社更生手続における融資金の回収

当社は、上記のとおり、融資実行条件として必要かつ十分な保全措置を求めていたので、当社の融資実行後にイセ食品について支払停止又は会社更生手続開始等の法的整理の開始決定があった場合でも、融資金は全額回収できていたものと考えております。 会社更生手続では、更生手続開始決定時、更生会社の財産に設定された担保権の被担保債権(元本のほか、利息又は損害金については更生手続開始後1年を経過するときまでに生じるもの)は「更生担保権」として取り扱われることから(会社更生法2条10項)、仮に当社が融資を実行していた場合、イセ食品の売掛金債権に設定された譲渡担保権の被担保債権である融資金債権が「更生担保権」に該当します。

会社更生手続では、担保権者は個別に担保権の実行をすることができず(会社更生法50条1項、24条1項2号)、裁判所で認可された更生計画に基づき更生担保権者として弁済を受けることになりますが(会社更生法205条2項)、更生担保権として認められる金額は、担保権の目的となる財産の更生手続開始決定時における「時価」であるとされています(会社更生法2条10条)。債権譲渡担保権についての時価評価方法には複数の考え方がありますが、当社がイセ食品に対する融資実行条件とした評価方法及び保全措置(上記融資実行条件②及び④)であれば、譲渡担保権の対象となる売掛金債権の評価額が融資金債権額を上回ることは確実であったと考えています。

なお、更生手続開始決定から再生計画案認可までの期間は個別事情により異なりますが、過去の会社更生事件における取扱いを参照すれば、更生手続開始決定から1年程度で認可となる事案が通常と考えています。

ファンド概要

ファンド名:伊勢の卵 Next Century サポーターズファンドⅠ

募集金額:300,000,000円

申込完了金額:303,980,000円

ステータス:ファンド成立するも融資実行せず償還

募集方式:抽選式

募集期間:2021/7/15 12:00 – 2021/7/18 23:59

運用期間:12ヶ月

投資家予定利回り(年率):4.00%

ファンド名:伊勢の卵 Next Century サポーターズファンドⅡ

募集金額:700,000,000円

申込完了金額:54,820,000円

ステータス:ファンド不成立

募集方式:先着式

募集期間:2021/7/20 12:00 – 2021/8/3 23:59

運用期間:12ヶ月

投資家予定利回り(年率):4.00%

本件についてのご不明点等は、お問い合わせフォーム(リンク)よりご連絡ください。

Bankers(バンカーズ)は今後も投資家の皆さまに選ばれるサービスを目指してまいります。引き続きバンカーズを何卒よろしくお願いいたします。

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