2024.12.19 時点の投稿
【ファンド徹底解説!】「【毎月分配型】【円建て】インドネシア個人向け金融事業者ファンド」について徹底解説
- Bankersの潮流
2023年9月より、Bankers(バンカーズ)では、インドネシアにおける個人向けデジタル金融サービスを提供するアクラク(Akulaku)社グループへの融資を目的とした「【円建て】インドネシア デジタル金融サービス事業支援ファンド」[1]の募集を開始いたしました。このファンドは当初より分配は満期一括で行っておりましたが、これを進化させ、「【毎月分配型】【円建て】インドネシア個人向け金融事業者ファンド1号」として、毎月の分配を実現するファンド募集を2024年11月29日に開始しています。円建てファンドシリーズは、これまでに45本、総額28億3,500万円の規模にまで成長しました。
このような成果を達成できましたのは、投資家の皆さまからの変わらぬご支援と深い信頼があってのことです。まずは、心より感謝の意を表させていただきます。
本稿においては、改めて本ファンドにおける次の二つの重要な点に注目し、詳細な解説を行わせていただきます。
- アクラク社グループの主要な市場と位置付けるインドネシアの経済環境
- 「今買って、後で支払う」サービスとして知られるBuy Now Pay Later(以下、「BNPL」という。)市場からみたアクラク社グループの将来性
インドネシアの経済環境
アクラク社グループの主要な市場であるインドネシア共和国は、東南アジア南部に位置しており、2024年12月時点で約2億8千万人[2]の人口を有し、世界で第4位の人口規模を誇ります。国民の平均年齢は約30歳と若く、人口構成は日本が高度経済成長期を経た1970年代の人口ボーナス期に類似しており、若年層が多く、生産年齢人口(15歳~64歳)の割合が69%と非常に高いことが特徴です[3]。
2023年10月には、インドネシアで東南アジア初となる高速鉄道「Whoosh」が、首都ジャカルタと西ジャワ州のバンドン間で開通し、最高時速350kmで運行が始まりました。インドネシアの経済成長は、2022年に前年比5.3%増と記録的な伸びを示し、2023年も安定した成長を維持しました[4]。また2024年第一四半期には前年同期比で5.11%[5]の成長率を達成し、通年で4.7%~5.5%の成長が予測されています[6]。この成長率は、アジア太平洋地域における経済大国としてのインドネシアの地位をさらに強化するものであり、その発展が期待されます。
インドネシアの経済成長は、「安定した消費者支出」、「増加する投資」、および「輸出の拡大」という三つの主要な柱によって支えられています。この国の経済成長を牽引する「安定した消費者支出」は、豊かな生産年齢人口に支えられています。また、「増加する投資」については、政府が推進する高付加価値化を目指す国家開発計画と産業政策により、さらなる加速が見込まれています。さらに、「輸出の拡大」は、石炭、天然ガス、ニッケルといった豊富な天然資源を背景に着実に進められています。これらの要素は、インドネシア経済の堅固な経済成長基盤を形成しており、その継続的な発展を支えています。
また、インドネシア政府の「2045年に先進国入り」という長期目標[7]の達成に向けて積極的な取り組みを進めています。米大手投資銀行ゴールドマンサックスによる予測では、2050年に世界の主要経済国として、1位に中国、2位に米国、3位にインド、そして4位にインドネシアが名を連ねることが期待されています(実質ドルベース)[8]。この予測によると、インドネシアはブラジルとロシアを抜き、さらには日本をも超えて上位に位置すると見られています。
インドネシアは将来的に高い成長が期待されている国である一方で、現在、銀行セクターの発展が十分でなく、個人や中小企業が金融サービスにアクセスすることが困難な状況が続いています。インドネシア人の銀行口座の保有率は2021年において約52%[9]にとどまり、多くの国民が基本的な金融サービスを利用できておらず、また、数多くの中小企業が必要とする資金を十分に調達できていないとも言われています[10]。
このような状況の中で、銀行セクターの発展が追いついておらず、個人や中小企業の金融アクセスを拡大するために、ノンバンク金融機関がその果たす役割が期待されています。その中には、IT技術を駆使して革新的な金融サービスを提供するフィンテック企業も含まれており、彼らは新しい形の金融サービスへのアクセス手段を提供しています。
フィンテック企業は、従来の銀行が対応しにくかったサービスを提供することにより、金融包摂を促進しています。例えば、クレジットカードやモバイルアプリなどのキャッシュレス決済は国民の95%[11]に利用されており、銀行口座を持たない人々にも金融サービスへのアクセスを提供しているのです。このように、フィンテック企業の取り組みは、インドネシアの金融アクセスの拡大に大きく貢献する存在となっています。
しかしながら、これらのフィンテック企業の多くが、十分な資金調達を行えていないという課題が存在しています。この点に対処するため、東南アジアを含む世界中のプライベートデットファンドや投資家が、厳選されたフィンテック企業に対して貸付を行うことにより、フィンテック企業はその潜在能力を最大限に発揮し、インドネシア経済全体の発展に貢献することが期待されています。
当社、株式会社バンカーズ・クラウドクレジット・ファンディングは、この取り組みに貢献するため、日本の投資家の皆様からの出資を募っております。私たちの目的は、資金を必要とし、かつ厳選されたフィンテック企業に支援を提供し、インドネシアの金融包摂を進めることです。投資家の皆様が提供する資金により、これらの企業は成長の機会を迎え、広範囲にわたる経済的な影響を生み出すことが期待されます。
当社が選び抜いたフィンテック企業、アクラク社グループは、デジタルに精通した若年層を主な対象として、デジタル金融サービスを提供し、時代のニーズに合わせた事業展開を行っています。この戦略が高い評価を受けており、設立からわずかな年月で、その市場価値は10億ドル(約1,500億円)を超えるまでとなり、インドネシアを代表するユニコーン企業へと成長を遂げています[12]。
また、アクラク社グループは、2022年12月に株式会社三菱UFJ銀行から2億米ドルの出資[13]を受け、さらに2024年1月にはHSBCシンガポールから1億米ドルの融資枠を設定[14]されるなど、金融業界の専門家たちから高く評価されています。これらの信用できる金融機関からの支援は、アクラク社グループが展開する事業の堅実性と成長の可能性を示しています。
アクラク社の提供する
Buy Now Pay Later(「今買って、後で支払う」サービス)とは
アクラク社グループは、BNPL、消費者割賦ローン、および個人向けローンといった金融サービスを提供しており、特にBNPLサービスは企業戦略の中核をなしています。
BNPLは、消費者が商品を購入する際に全額をすぐに支払う代わりに、後日一括または分割で支払いができる便利な決済手段です。この市場は全体の決済市場と比べるとまだ規模は小さいものの、急速に成長しており、今後も拡大が予想されます。特にインドネシアにおいて、アクラク社グループが取引額でトップシェアを占め、この新興市場のリーダーとしての地位を確立しています[15]。
(出典:PayNXT360 Country Intelligence Report, Indonesia Buy Now Pay Later Market Opportunities Databook, p19, January 2023)
インドネシアにおけるBNPL市場は拡大しており、2024年には年間16.3%の成長が見込まれ、取引総額は7,573百万米ドルに達すると予想されています。2024年から2029年にかけての年平均成長率は10.7%と見られ、2023年の6,514百万米ドルから2029年には12,591百万米ドルに増加する見通しです。これは、BNPL市場の長期的な成長が期待されることを示しています[16]。
一方、2023年にインドネシアの金融サービス監督機関(OJK)は、BNPLの利子率の上限に規制を設けたことにより、デジタル貸付市場は大きな転換期を迎えていると言われています。消費目的のローンの日割り利率の上限は、2023年に0.3%までと制限され、2026年までに0.1%にまで低減される予定です[17]。この規制強化は、アクラク社グループのようなBNPLサービスの提供者にとっては利益率への圧力となる一方で、消費者保護を強化し、過度の借入から守るためのものでもあり、これにより、市場の健全な競争が促進され、サービスの質の向上につながることが期待されています。このような環境のもと、アクラク社グループのような先駆け企業は、高品質な消費者ローンサービスを提供することで、市場での優位性を保つことが期待されています。
他社にはない当社ファンドの三つの魅力
最後に、当社が組成したアクラク社グループのファンドが持つ他社とは異なる三つの魅力について説明いたします。
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為替リスクの負担がないこと
本ファンドは、海外の事業体であるアクラク社グループに対して直接貸付を行いながらも、円建てで運用されています。このため、為替リスクは海外企業である借り手が負担します。このような取り組みは、アクラク社の財務体力と投資家の皆様のリスク軽減および投資し易さを考慮してのものです。
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短期間での投資回収と毎月の分配を実現できたこと
本ファンドは、13ヶ月という短期間で運用され、さらに毎月利息を分配することで、投資家の皆様に迅速に収益を実感していただける仕組みを採用しています。この返済スキームは、投資家の皆様との信頼を深め、当社とアクラク社グループの間のこれまでの取引実績と強固な信頼関係が基盤となっています。
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現地での徹底した貸し倒れリスク管理ができること
日本とインドネシア間の地理的な距離を考慮して、バンカーズはインドネシアに子会社を設立しました。これにより、現地での効率的かつ迅速な情報収集と、効果的なモニタリングを可能としました。さらに、法律専門家の助言に基づいた担保設定を通じて、適切な担保管理を実現しています。また、アクラク社グループの財務状況を定期的に監視し、現地関連会社を通じた風評リスクの早期発見にも努めています。このような体制は、貸し倒れリスクへの対策を強化し、本ファンドの投資への安心感を高めるものと信じています。
商号: 株式会社バンカーズ
本店所在地: 103-0025 東京都中央区日本橋茅場町1-8-1 茅場町一丁目平和ビル802
電話番号: 03-6272-9680(カスタマーサポート)
登録/加入協会:
第二種金融商品取引業関東財務局長(金商)第3216号
貸金業関東財務局長(14)第00077号
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
日本貸金業協会協会員番号 002411号
賃金業法 指定信用情報機関株式会社日本信用情報機構
ファンドの手数料等およびリスクについて
・ご出資いただく際の販売手数料はいただいておりません。
・なお、出資金に対して、年率換算で最大4.0%の運用手数料を運用開始時に(または運用開始時および2年度目以降毎年度に)いただきます。
・また、為替手数料その他の費用をご負担いただく場合があります。為替相場の変動、国の政治的・経済的なカントリーリスクや債務者の債務不履行等により、元本に欠損が生じるおそれがあります。
・ファンドごとに、手数料等およびリスクの内容や性質が異なります。
・詳しくは、匿名組合契約書や契約締結前交付書面等をよくお読みください。
[1] 本ファンドは、インドネシアのアクラク社と香港に所在するグループ会社への融資を行います。
[2] Worldometer:https://www.worldometers.info/world-population/indonesia-population/ (参照日:2024 12 16)
[3] インドネシア中央統計庁のデータを元に計算。インドネシア中央統計庁のデータ:Statistical Yearbook of Indonesia 2022:https://www.bps.go.id/en/publication/2022/02/25/0a2afea4fab72a5d052cb315/statistik-indonesia-2022.html (参照日:2024 12 16)
[4] 世界経済のネタ帳:インドネシアの経済成長率の推移:https://ecodb.net/country/ID/imf_growth.html (参照日:2024 12 16)
[5] ジェトロのビジネス短信:第1四半期のGDP成長率は前年同期比5.11%、内需が堅調に推移:https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/05/c119c0bc1a355294.html(参照日:2024 12 16)
[6] インドネシア中央銀行(News Release):https://www.bi.go.id/en/publikasi/ruang-media/news-release/Pages/sp_2614424.aspx(参照日:2024 12 16)
[7] ゴールデン インドネシア 2045:国家長期開発計画 2025-2045(Indonesia Emas 2045:Rencana Pembangunan Jangka Panjang Nasional 2025-2045) https://indonesia2045.go.id/ (参照日:2024 12 16)
[8] ゴールドマンサックス・グローバル・ペーパー:2075年への道筋-世界経済の成長は鈍化、しかし着実に収斂:https://www.goldmansachs.com/japan/insights/pages/path-to-2075-f/report.pdf (参照日:2024 12 16)
[9] カケモチ:インドネシアの銀行事情(口座保有率や貯金方法)と主要な銀行6選 https://kakemochi.co.jp/column/bank-situation-in-indonesia/ (参照日:2024 12 16)
[10]「インドネシアの中小企業のファイナンスギャップは1,659億ドル、GDP比で19.2%にのぼる。」三井物産戦略研究所「フィンテックが拓く事業機会アジア新興国の中小零細向け金融のポテンシャル」より:https://www.mitsui.com/mgssi/ja/report/detail/__icsFiles/afieldfile/2022/05/23/2203i_shimato_onishi_HP.pdf (参照日;2024 12 16)
[11] カケモチ:成長するインドネシアのキャッシュレス市場における決済アプリと電子マネーサービスの紹介: https://kakemochi.co.jp/column/indonesias-cashless-market/ (参照日:2024 12 16)
[12] Invest in Asia:Top Unicorn Startup Companies in Indonesia:https://investinasia.id/blog/unicorn-startup-in-indonesia (参照日:2024 12 16)
[13] 株式会社三菱UFJ銀行:Akulaku 社への出資について:https://www.mufg.jp/dam/pressrelease/2022/pdf/news-20221226-001_ja.pdf (参照日:2024 12 16)
[14] HSBC:How is Akulaku Funding its Vision to Broaden Financial Inclusion Across Southeast Asia – and Prepare for an IPO?:https://www.business.hsbc.com/en-gb/insights/growing-my-business/how-is-akulaku-funding-its-vision-to-broaden-financial-inclusion-across-southeast-asia (参照日:2024 12 16)
[15] アクラク社グループのインドネシア国内におけるBNPL市場のシェアは2022年において40%~45%とされています(PayNXT360調べ)。
[16] PayNXT306:Indonesia Buy Now Pay Later Business and Investment Opportunities Databook:https://www.paynxt360.com/report-store/view/indonesia-buy-now-pay-later-busine-304 (参照日:2024 12 16)
[17] CNBC INDONESIA:Media Asing Sorot Putusan OJK Soal Bunga Pinjol Maksimal 0,3%: https://www.cnbcindonesia.com/tech/20231110164821-37-488131/media-asing-sorot-putusan-ojk-soal-bunga-pinjol-maksimal-03 (参照日:2024 12 16)